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vol.479 「無尽」って金融のはじまり?

「無尽:むじん」。ご存知ですか?

 

最近、山梨県に行く機会が増え、

「無尽(講):むじん(こう)」という独特の習慣に出会いました。

あるお客様とのやり取りでも「その夜は無尽なんです!」と、

日常に溶け込んだ山梨ではごく普通の会話の中で使われています。

 

また、居酒屋の店頭ポスターには、

お勧めの料理写真とともに「無尽、承ります!」

といった都心では見慣れないコピーもありました。

 

この「無尽」ですが、

「頼母子(講):たのもし(こう)」と呼ぶ地域や、

沖縄では「模合:もあい」とも呼ぶらしいです。

 

 

いろいろ調べてみると、じつに面白い習慣でした。

 

「無尽」とは月に1回程度、特定のメンバーで集まって食事や飲み会をする習慣です。そしてその時に食事代とは別にお金を出し合って積み立て、メンバーが順番に使ったり、グループの目的のために役立てたりすることらしい。参加している無尽の数は平均1~3つ、付き合いが多い人は十数個も参加する人がいるようです。

それなりの頻度で集まり、しかもお金が絡んでくるとなると、メンバー同士の信頼関係が必要となるので、山梨県は昔から住民同士のつながりが強いようです。

山梨のお客様に聞いても「あまり、よそ者は受け入れないかもね。」なんて言われたこともありました(笑)

 

歴史をさかのぼると、この習慣は鎌倉時代に始まったとのことです。冠婚葬祭などでまとまったお金が必要になったときに、助け合いのために作られた仕組みで、江戸時代になるとお伊勢参りをするための「伊勢講」や富士山に行くための「冨士講」、高級な輪島塗りを買うための「碗講」などもあったそうです。

 

この「無尽」、

『人と人が“直接”お金の融通をしあう』という意味では、

まさに日本古来の地域版・金融システムだと思いませんか。

 

例えば、

お金を積み立てて旅行にいくなどの『貯蓄・融資』。

家畜や馬、牛が死んだときに家畜を買う『保険』。

くじを引いて当たったら、次の商売の資本にする『投資』。

これらは、まさに金融ですからね。

 

また、リアルとネットの違いはあるものの、

東日本大震災のあと一気に火が付いた「クラウドファンディング」とも

共通点があるように思えます。

夢を持つ人や困っている人にネットを通じて資金を募り、

その集まった資金を元手に事業を展開、

事業が波に乗ったら、お礼として事業にちなんだ商品をお返しする。

 

どちらも、『助け合い』と『信頼』が根底にある仕組みですよね。

 

山梨県では無尽によって楽しみが増えて充実した生活を送っているという人が多いそうです。定期的に気の合う友人に会い、おいしい物を食べて飲む。そして次の無尽の約束をする。高齢者のなかにはたくさんの無尽に参加している人ほど長生きするという話もあり、生きがいにつながっているようです。

 

なんか素敵な習慣ですね。

2019.02.25 東京本社 秋山 昇

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