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vol.657 将棋の手数は宇宙の原子より多い

オリンピックも終わり昨日からパラリンピックが始まりましたが、一方で今、将棋の熱いタイトル戦が繰り広げられています。

本日まさに、王位戦七番勝負の第5局が始まっており、10代の若き天才棋士、藤井聡太二冠が王位防衛まであと一勝!という、大変注目の場面となっています。
この藤井二冠の登場により“観る将”というワード(将棋を指さずに観るだけ)も生まれており、将棋が非常に世間から注目されるようになりました。

将棋は言ってみればボードゲームのひとつで、ほかに囲碁、チェス、オセロなど様々あるわけですが、これらは別に『有限ゲーム』と言われ、一対一で戦う先後と、駒をどのマスに置くかでどちらが必ず勝つかが決まってるのだそう。

朝日新聞デジタル版で、藤井二冠がまだ四段で、連勝記録を伸ばしていた時期に、経済学者の安田洋祐氏と対談『ツェルメロの定理議論』というタイトルの記事がとても興味深かったのでその一部を今更ながらですがご紹介します。

安田氏は藤井四段が将棋を好きになった理由を尋ねたり、ゲームの話題に触れた後、いきなり二人でのゲームを提案。

安田 ・・・ではここで、1対1で数字を数え上げるゲームをしてみましょう。「1から順番に数字を数え上げる」「一度に三つまで数えることができる」「ある数字を数えた方が負け」というルールです。今回は、「21を数えたら負け」という設定にします。まず、1。

 藤井 2、3。
 安田 4。
 藤井 (5秒ほど考えてから)5。
 安田 6、7、8。
 藤井 あっ、そうか……。これは多分負けです。
 安田 なぜ、気づいたのですか。
 [ここから先を読むにはデジタル版の読者会員にならねばならなかったが・・]
 藤井 21が「4の倍数+1」になるからです。
 安田 やっぱり、気づくのがとても速いですね。このゲーム、先手に必勝法があるのか、後手に必勝法があるのか、わかりますか。
 藤井 後手必勝です。
 安田 そうです。先手がどう数えても、後手は必ず4の倍数で、そして20で数え終えることができるからです。このように、有限の手数で終わりが来るゲームは、必ず先手必勝か後手必勝かが決まっています。これは、考えた学者の名前にちなんで「ツェルメロの定理」と言われています。将棋はとても複雑なゲームですが、同じようにどちらかが必勝になるはずです。

…以上がお二人の対談です。

藤井二冠、当時14歳、さすがの頭脳の回転ですね。

将棋は9×9マスの盤と40枚の駒で行うゲームですが、一局を通じて10の220乗とも言われるほどの指し手の組み合わせパターンがあるそうで、宇宙の原子の総数は10の80乗程度と言われてるそうなのでそれよりはるかに大きな世界が広がっているということなのです。すごい。これじゃ有限手数と言っても無限と変わらないですよね…

さて、今日もその中で最善の一手を追求しての長時間に渡る勝負。果たして王位防衛なるか。結果が楽しみです。

2021.08.25 東京本社 築舘 真奈美

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